フロントローディング

品質を上げるには、「徹底的な試験をすればいい!」と思っている人がいるかも知れない・・。
しかし、物作りプロセスにおいては、不具合発生による設計変更は、それが下流の工程で見つかるほどコストと時間が必要になる。
また、一般的に製品コストの大部分は設計の初期段階で決まってしまうため、その後の価格低減の余地は小さいといえます。
ソフトウェア設計では、お客様からの要件からスタートします。
「何をしたい・・」「こんな時は、この様な処理をする・・」等など
ソフトウェア開発のプロセスでは、この段階の作業を「要件定義」と言いますが、その要件定義を含めた上流工程の出来不出来で、最終的製品の品質が決定されると言っても過言ではない。
近年、製品開発の初期工程にリソースを集中的に投入し、コスト・品質を作り込む活動が盛んになってきている。
これが「フロントローディング」です。
これを数値に表したのが、フロントローディング率。
製造する製品によっても異なるが、あるメーカーでは、80~90%と言うところもあります。
ソフトウェアの世界でも、パラダイムシフトが起きることを期待したい。

インターネツトには、有償・無償を問わずいろいろなツールが紹介されています。また、ソフトウェアのダウンロードサイトもいろいろとあります。 日本でも、「Vector」や「窓の杜」が有名です。

今日ご紹介するツールは、会議やプレゼンテーションで使える「ZoomIt」です。 このツールは、マイクロソフトが運営する「Windosw Sysinternals」のWebサイトからダウンロードできます。

このサイトは、技術情報やユーティリティを公開するサイトとして昔から有名でしたが、2006年7月マイクロソフトに買収され、以後マイクロソフトのオフィシャルサイトの一部として運営・活動を展開しています。

このサイトでは、Windowsに付属する標準のツールでは得ることのできない技術情報を取得するためのツールや、Windowsのプロセスやファイルアクセスの状態を把握するための、さまざまなツールが提供されています。
私も、プログラムを作る上での非公開の技術情報を得るために、時々このサイトのツールを使っています。

最近のエコブームで、紙の資料を配らない会議が多くなりました。私の会社でも、会議の資料を配付せずに発表者がパソコンを操作し行うことがあります。

モニターには、テレビ会議用の32インチの画面を使うのですが画面の文字が見づらかったり、強調したいところを示すのに難儀します。

また、最近はプレゼンテーションに「PowerPoint」を使うことが多くなりました。説明をしながら強調したいところに線を引いたり、あるいは矢印で関連性を表現したり・・等々。 説明をしながら、資料にいろいろな書き込みを加えたいことがあります。

ZoomItを使うと画面の拡大・縮小、資料に注釈や文字を書いたりすることができます。機能を呼び出すためのホット・キーもカスタマイズでき、拡大した画面の移動もマウスで簡単にでき非常に便利なツールです。

これと同じジャンルのソフトウェアが、私の知人が経営する会社からも発売されています。この会社が開発した「プレゼンマーカー」は、プレゼンテーションに特化したツールとして、学校・企業から多くの引き合いがあるようです。


■Windosw Sysinternals Webサイト
http://technet.microsoft.com/ja-jp/sysinternals/default.aspx

■ZoomItのダウンロード
http://technet.microsoft.com/ja-jp/sysinternals/bb897434.aspx

■プレゼンマーカーのサイト
http://www.vivonet.co.jp/vivo_html/pre.html

以前、「ビッグウエンズデー」でも書きましたが、2007年度はコンビニが百貨店を抜き、2008年は通販がコンビニを抜きました。 市場規模も8兆円を越えるものとなっています。

今やネットで商品を販売したり、見込み客を見つけることは当たり前の世の中となってきました。今日は、ネット販売の裏側で密かに動いている「レコメンドシステム」について紹介します。

スーツを買いに行って、店員から『このスーツには、この色のネクタイが似合います !』と云われて、ついつい買ってしまったという経験があります。

また、ネットで商品を選んでいると画面に「この商品を見た人は、こんな商品も見ています」「この商品を買った人は、こんな商品も買っています」と、店員がそこにいるかのように次から次へといろいろな商品を勧められた経験もあると思います。

これらを実現しているのが「レコメンドシステム」です。 レコメンド(recommend)とは、「推薦(推奨)する」と言う意味で、方式も大きく分けて次の3通りの方法があります。

 ①ルールベース
 ②コンテンツベース
 ③協調フィルタリング

ルールベースとは、「このアイテムが選ばれたらこれを薦める」というルールをあらかじめ作っておく方式をいいます。これは携帯ゲーム機を買ったお客様には、液晶画面カバーも薦めるというような動作となります。

コンテンツベースとは、商品が持つ複数の属性(本であれば書名、著者名、出版者名、価格等)が同じものをピックアップする方法です。例えばAという書物を買った人には、著者が同じBという本を推薦するという動作となります。

協調フィルタリングは、過去の購買履歴や訪問者自身が登録した属性情報等で、類似訪問者をグループ化してルールを設定する方法です。 大手ECサイトでは、この方法が主流となっています。

しかし、協調フィルタリング方式を使って「ユーザの嗜好を推測」するためには、購買実績などの過去のサンプルデータが大量に必要となる点や、購買実績のない潜在顧客層の巻き込みが困難である点が課題となっています。

そこで最近では、ホームページの各ページに「ビーコンタグ」と呼ばれる1×1ピクセルの透明色GIFファイル(画像)をあらかじめ仕込んでおいて、より詳細にユーザーの行動履歴をとるシステムも開発されています。

中堅企業でホームページを持たない企業は、今ではあり得ません。しかし、その多くは会社の紹介や取扱商品のカタログ情報に止まっています。

ITビジネスは、大手ECサイトのような単純な「箱売り」ではなく、ソリューション営業です。お客様の嗜好を推測すると言っても容易なことではありません。

しかし、ホームページやメールマガジン等から集めたログデータを蓄積・分析・加工して企業の意思決定に活用するBI(Business Intelligence)システムの構築や、レコメンドをうまく活用した「新規顧客の深耕」も重要な経営のテーマだと思っています。

営業経験のない人間がこのようなことを云うと叱られそうですが、いろいろな場所で営業を見てきて思うのは、営業の負荷が高すぎて営業活動の改革ができずに、負のスパイラルに陥っているように思えます。

また、新規顧客の獲得にエネルギーの大半を使い、既存顧客への一歩踏み込んだ提案ができずにVIP(重要顧客)を失っているケースもあります。

同じような製品が各社から販売されている現代では、昔のような「製品で差別化 !」ができにくくなっています。このような状況下では、プッシュ型アプローチは必ずしも有効ではありません。

大切なことは、お客様の問題を解決してあげること、そのためにはお客様を何よりも理解する必要があります。新規顧客の発掘には、今回紹介した「レコメンドシステム」を有効活用し、既存顧客へは徹底的な提案をしていくことが重要だと考えています。

ぐち

人間長くやっていると、ついつい出てしまいますね。 「愚痴」が・・・。

相田みつを は、「ぐちを云ってもいい」と云っています !?

今日は、名言 『ぐち』 を紹介します。

「ぐち」

 ぐちをこぼしたって
 いいがな
 弱音を吐いたって
 いいがな
 人間だもの
 たまには涙を
 みせたって
 いいがな
 生きているんだ
 もの

「非機能要求グレード」の公開 !

昨日、「非機能要求グレード」が、6社*1の企業から構成される「非機能要求グレード検討会」から公開されました。

昨年5月に初めて「非機能要求グレード」が一般に公開され、パブリックコメントの募集がされていました。

非機能要件とは、システム化の際に「ユーザがあまり意識していない要件」、例えば応答性能とか障害時の耐性など、機能要求には載らない要件のことをいいます。

今回公開されたドキュメントでは、要件を次の6つの項目に分類しています。

 ?可用性
 ?性能・拡張性
 ?運用・保守性
 ?移行性
 ?セキュリティ
 ?システム環境・エコロジー

更に各項目が、中・小分類に細分化され、それぞれの項目にはメトリックス(指標)とそのレベルが定義されています。

お客様業務のシステム化においては、機能面での要求・検討はされますが、非機能要求については、お客様のレベルや開発コストの問題等々で、中々ビジブル化されていない現実もあります。

今回公開されたグレードは、技術にあまり詳しくないお客様でも「どの程度のシステムが必要なのか」を理解できるように書かれています。また、システムを開発するSIer側でも誤解のないようにまとめられています。お客様とSIer両者に分かるようにまとめられていることが、これからのIT経営に重要な意味を持つことになると思います。

今まで、お客様は自分の言葉でSIerに伝えてきましたが、過剰な可用性を求めたり、あまりに低コストを求めすぎて十分な信頼性がなかったりと、IT化の障害になっていました。

お客様はよく「日本語なのだからわかるだろう・・」とか、「プロなんだから分かってくれているだろう・・」とか云いますが、お客様の言葉はあまりに誤解を招く要素が多いのです。

「非機能要求グレード」をベースに打合せを行えば、誤解する部分がかなり減り、経営のIT化が推進されるようになると考えています。

以前もITコーディネータの団体が、「RFP(Request For Proposal:提案依頼書)」のガイドラインを出した経緯があります。しかし、このガイドラインが「システムの見える化」につながったかは甚だ疑問に思っていました。(個人的には・・)

非機能要求グレード検討会の詳細は、こちらのアドレスから見ることができます。ITにたずさわる人は、見てほしいと思います。
http://www.nttdata.co.jp/nfr-grade/

少し話を変えますが、品質管理において「品質」と「グレード(等級)」を混同している人を時々見かけます。P2M標準ガイドブックPMBOKでも明確に区別され定義されています。

品質は、要求事項をどれだけ満足しているかであり、グレードは要求事項そのものに対するレベルと考えるべきです。

社内での営業・SEの会話やお客様との打合せで、どの程度この「品質」と「グレード」を意識し区分しているのか疑問に思うことがあります。

今回の検討会が出した結論を読んでいて、あらためて『システム開発見える化』に対し、お客様を含め我々IT業界の人間が取り組む必要性を感じました。

*1 NTTデータ、富士通日本電気日立製作所三菱電機インフォメーションシステムズ、沖電気工業

パーキンソンの法則

世の中には、いろいろな法則があります。

パーキンソンの法則」もその中の一つで、英国の歴史学者政治学C.N.パーキンソンCyril Northcote Parkinson:1909 - 1993)が、その著作「パーキンソンの法則:進歩の追求」のなかで始めて提唱しました。

この法則は、役人の数に関する第一法則と、財政規模に関する第二法則があるとされています。

第一法則 「仕事は、その完成のために使える時間を満たすまで延長される
上司から『この仕事を10日でやってくれ』と依頼されると、7日で終了するにもかかわらず10日掛けてしまう。
プロジェクト管理において、納期やコストに対する指摘ばかりしていると自然と余裕(安全)を見た納期・予算設定の方向に流れることも同じである。

第二法則 「支出(経費)の額は、収入の額に達するまで膨張する
いったん予算化すると無駄な仕事をしていても、余すところなく使い切ってしまう。来年度の予算が削減されてしまうから、すべて使い切る等の心理もこれにあたる。

我々の周りに目をやってみても、多少の工夫をすれば一人でできる仕事を何人かでやっていたりする。人がいるため、かえって仕事が捗らなかったり、増えたりもする・・。

ポストを確保するために組織や役職が新たにできたり、人がいることが新たな仕事を生み、管理組織が限りなく肥大化する。人が増え組織が複雑化すると、調整のための会議が延々と続く・・。

これらは、すべて「パーキンソンの法則」と云えます。

できるだけフラットな組織にして迅速に対応するようにしたり、現場の裁量を拡大し自主的な意志決定を促し、現場の責任感とモチベーションを高める工夫が必要である。「仕事が組織を作る!」という考えが重要である。

また、企業における販売費、管理費は業績のよいときほど心して抑制しなければ膨れる一方である。一度膨らんだものを縮小することは容易なことではない。


高松築港で見つけた「ナンキンハゼ」Nankinhaze

こだわり・・

龍馬伝は、高視聴率が続くNHKの大河ドラマである。皆さんの中にも、毎週ご覧になっている方も多いかと思う。

演出を担当するのが、巨匠と云われている「大友 啓史(おおとも けいし)」氏。ハゲタカ(2007年)、白洲次郎2009年)の演出も手がけた人物である。

NHKでは、彼ほどの大物になると年に一・二本のドラマを撮る程度で、大河ドラマを担当するのは珍しいことである。

龍馬伝は、次の2点にこだわって制作されている。

第1は、撮影に使用しているカメラ。
ドラマの撮影には、「プログレッシブカメラ(通称30Pカメラ)」を使用している。通常、ドラマ撮影というと高精細のカメラを使用するが、大友はあえてこのカメラにこだわったのである。
このカメラにより、映画のような「奥行きのある質感」の映像を作ることができる。また、カメラの「長まわし」によって持久力、持続力のある画が撮れるメリットもでている。

第2は、カット割り。
通常ドラマでは、ワンカットが20秒から1分程度で制作されるという。編集に多くの時間をかけることができないため、演出家が事前に台本に細かくカット割りをして制作して行く。しかし、龍馬伝の台本は真っ白で、ワンカット約20分と云う長いシーンで撮影される。

長い時間で撮ることにより、演じる役者も想定できないほどの感情の高ぶりや、役者間の様々の人間描写が描ける。

また、カメラマンもリハーサル後、各自が撮影したい場所で好きなだけ撮り、それを編集室で全部見て、いいカットを決めていくのだそうだ。

経済が安定している時期は、画一的(金太郎飴的)な人間が重宝がられ、逆に他人と違った考え方・方法は敬遠されてきた

しかし、時代が不透明になると「個性」や「オリジナリティ」が求められる。坂本龍馬の生きた時代は、まさしく時代の大きな転換期であった。

龍馬の生まれた高知県(土佐)は排他的で、自己主張が強く、まとまりがない等あまり良いことを云われない。
坂本龍馬のようなある種「感覚的」な人物は、この様な土地柄では芽が出なかったのではないか・・。

視聴者が現代と龍馬の生きた混乱の時代をオーパラップさせていることが、高視聴率を維持している理由かもしれない・・。


晩秋の桂浜(高知)Katsurahama