以前、「ビッグウエンズデー」でも書きましたが、2007年度はコンビニが百貨店を抜き、2008年は通販がコンビニを抜きました。 市場規模も8兆円を越えるものとなっています。

今やネットで商品を販売したり、見込み客を見つけることは当たり前の世の中となってきました。今日は、ネット販売の裏側で密かに動いている「レコメンドシステム」について紹介します。

スーツを買いに行って、店員から『このスーツには、この色のネクタイが似合います !』と云われて、ついつい買ってしまったという経験があります。

また、ネットで商品を選んでいると画面に「この商品を見た人は、こんな商品も見ています」「この商品を買った人は、こんな商品も買っています」と、店員がそこにいるかのように次から次へといろいろな商品を勧められた経験もあると思います。

これらを実現しているのが「レコメンドシステム」です。 レコメンド(recommend)とは、「推薦(推奨)する」と言う意味で、方式も大きく分けて次の3通りの方法があります。

 ①ルールベース
 ②コンテンツベース
 ③協調フィルタリング

ルールベースとは、「このアイテムが選ばれたらこれを薦める」というルールをあらかじめ作っておく方式をいいます。これは携帯ゲーム機を買ったお客様には、液晶画面カバーも薦めるというような動作となります。

コンテンツベースとは、商品が持つ複数の属性(本であれば書名、著者名、出版者名、価格等)が同じものをピックアップする方法です。例えばAという書物を買った人には、著者が同じBという本を推薦するという動作となります。

協調フィルタリングは、過去の購買履歴や訪問者自身が登録した属性情報等で、類似訪問者をグループ化してルールを設定する方法です。 大手ECサイトでは、この方法が主流となっています。

しかし、協調フィルタリング方式を使って「ユーザの嗜好を推測」するためには、購買実績などの過去のサンプルデータが大量に必要となる点や、購買実績のない潜在顧客層の巻き込みが困難である点が課題となっています。

そこで最近では、ホームページの各ページに「ビーコンタグ」と呼ばれる1×1ピクセルの透明色GIFファイル(画像)をあらかじめ仕込んでおいて、より詳細にユーザーの行動履歴をとるシステムも開発されています。

中堅企業でホームページを持たない企業は、今ではあり得ません。しかし、その多くは会社の紹介や取扱商品のカタログ情報に止まっています。

ITビジネスは、大手ECサイトのような単純な「箱売り」ではなく、ソリューション営業です。お客様の嗜好を推測すると言っても容易なことではありません。

しかし、ホームページやメールマガジン等から集めたログデータを蓄積・分析・加工して企業の意思決定に活用するBI(Business Intelligence)システムの構築や、レコメンドをうまく活用した「新規顧客の深耕」も重要な経営のテーマだと思っています。

営業経験のない人間がこのようなことを云うと叱られそうですが、いろいろな場所で営業を見てきて思うのは、営業の負荷が高すぎて営業活動の改革ができずに、負のスパイラルに陥っているように思えます。

また、新規顧客の獲得にエネルギーの大半を使い、既存顧客への一歩踏み込んだ提案ができずにVIP(重要顧客)を失っているケースもあります。

同じような製品が各社から販売されている現代では、昔のような「製品で差別化 !」ができにくくなっています。このような状況下では、プッシュ型アプローチは必ずしも有効ではありません。

大切なことは、お客様の問題を解決してあげること、そのためにはお客様を何よりも理解する必要があります。新規顧客の発掘には、今回紹介した「レコメンドシステム」を有効活用し、既存顧客へは徹底的な提案をしていくことが重要だと考えています。