「非機能要求グレード」の公開 !
昨日、「非機能要求グレード」が、6社*1の企業から構成される「非機能要求グレード検討会」から公開されました。
昨年5月に初めて「非機能要求グレード」が一般に公開され、パブリックコメントの募集がされていました。
非機能要件とは、システム化の際に「ユーザがあまり意識していない要件」、例えば応答性能とか障害時の耐性など、機能要求には載らない要件のことをいいます。
今回公開されたドキュメントでは、要件を次の6つの項目に分類しています。
?可用性
?性能・拡張性
?運用・保守性
?移行性
?セキュリティ
?システム環境・エコロジー
更に各項目が、中・小分類に細分化され、それぞれの項目にはメトリックス(指標)とそのレベルが定義されています。
お客様業務のシステム化においては、機能面での要求・検討はされますが、非機能要求については、お客様のレベルや開発コストの問題等々で、中々ビジブル化されていない現実もあります。
今回公開されたグレードは、技術にあまり詳しくないお客様でも「どの程度のシステムが必要なのか」を理解できるように書かれています。また、システムを開発するSIer側でも誤解のないようにまとめられています。お客様とSIer両者に分かるようにまとめられていることが、これからのIT経営に重要な意味を持つことになると思います。
今まで、お客様は自分の言葉でSIerに伝えてきましたが、過剰な可用性を求めたり、あまりに低コストを求めすぎて十分な信頼性がなかったりと、IT化の障害になっていました。
お客様はよく「日本語なのだからわかるだろう・・」とか、「プロなんだから分かってくれているだろう・・」とか云いますが、お客様の言葉はあまりに誤解を招く要素が多いのです。
「非機能要求グレード」をベースに打合せを行えば、誤解する部分がかなり減り、経営のIT化が推進されるようになると考えています。
以前もITコーディネータの団体が、「RFP(Request For Proposal:提案依頼書)」のガイドラインを出した経緯があります。しかし、このガイドラインが「システムの見える化」につながったかは甚だ疑問に思っていました。(個人的には・・)
非機能要求グレード検討会の詳細は、こちらのアドレスから見ることができます。ITにたずさわる人は、見てほしいと思います。
http://www.nttdata.co.jp/nfr-grade/
少し話を変えますが、品質管理において「品質」と「グレード(等級)」を混同している人を時々見かけます。P2M標準ガイドブックやPMBOKでも明確に区別され定義されています。
品質は、要求事項をどれだけ満足しているかであり、グレードは要求事項そのものに対するレベルと考えるべきです。
社内での営業・SEの会話やお客様との打合せで、どの程度この「品質」と「グレード」を意識し区分しているのか疑問に思うことがあります。
今回の検討会が出した結論を読んでいて、あらためて『システム開発の見える化』に対し、お客様を含め我々IT業界の人間が取り組む必要性を感じました。