旅行業界の変化に学ぶ・・
先日の日経MJに興味深い記事が載っていた。
旅行業界では、出発地を「発地」、旅行先を「着地」と呼ぶそうである。
大手旅行代理店が企画・販売する商品のほとんどが、発地側で企画されたものである。最近注目されているのは、着地が主体となって旅行者を呼ぶ『着地型旅行』だそうだ。
2007年に「旅行業法施行規則」の一部が改正され、第三種旅行業者も着地型に限り企画・販売が可能となり、第三セクターなどの旅行業登録者が増えたことが背景にある。
発地側の人では、着地側の魅力の全てを理解しているわけではないため、知名度のあるところへしか旅しないのが普通である。
そこで、着地型旅行であれば、魅力の全てを見せられる、そして、地元住民と一体となった観光開発、特産品の開発、町おこしができるというメリットがある。
記事の中で、群馬県大泉町の例が紹介されていた。大泉町は、日系外国人の比率が16%と全国一高い土地で、人口の約10%がブラジル人である。
その特徴を生かし、ツアー参加者といっしょにサンバを踊ったりブラジル人とのコミュニティーの体験が日帰りでできると云うものである。
高齢化により、このような「着地型旅行」はこれから人気が出てきそうである。そして、着地型旅行を企画することが地元の活性化につながる。
これと同じようなことが、企業には幾つかある。我々が取り扱う商品のほとんどは、東京(或いは大阪)と云った大都市で企画・開発されたものである。
地方の意見を取り込んでいると云っても、多くを販売している主要都市の要求が優先される。また、販売するためのカタログ等の販売ツールも、首都圏で企画・作成されている。
数が優先される現代では、このような動きはどうしようもないことではあるが、問題は、私がいる四国のような「田舎」に都会の商品やビジネススタイルをそのままの形で、持ち込もうとしていることである。
こちらに赴任して、社員が過去やってきたことを見ると、ほとんどが都会型ビジネスをそのままの形で実践されてる。
しかし、それらの多く(すべてと云ってもいいかもしれない・・)は長続きせず、支店の主力BU(Business Unit)にはなっていない!
輸出に頼っている日本は、最近の円高により益々景気の不透明さを増している。四国にも外需に頼っている企業(製造業)が数多くある。
しかし、四国の土地柄を生かした「内需型」の企業も沢山ある。少子高齢化の現代で、内需をいかに増やしていくかは、日本の将来にとっては非常に重要な課題である。
私は、内需型企業に対して、売上増、コストダウンにつながるような提案を積極的に行うことが必要だと考えている。
そのような企業に、少しでも我々が持っている経験・技術が生かせるのであれば、必ず受け入れられるし、ビジネスとして定着すると信じている。
前述の「着地型旅行」もポイントは、プロモーションをどの様にしていくかである。資本力・知名度では、大手旅行代理店には勝てない。
しかし、インターネットを活用して情報発信し、ネット上での「口コミ」による広がりができたなら、成功の可能性は充分あるように思える。
写真は、奥祖谷(徳島県)にある「二重かずら橋」である。かずら橋と云うと祖谷が有名であるが、観光客の多くは奥祖谷にもかずら橋があることを知らない・・。