リーダーとして当然のこと。しかし...

先日、あるプロジェクトリーダー(PL)から相談を受けた。

メンバーの1人(設計者)が、他のメンバーと比べ「ドキュメント作成の生産性」が低いのでメンバーから外したい!という内容であった。

どんなプロジェクトでも、このような話はよく聞く。リーダーの立場で考えたら、「納期」や「コスト」に縛られているわけだから当然のことかもしれない..。

指摘されているメンバーの彼は、今までパッケージシステムのカスタマイズ(*1)中心の仕事が多く、今回の様な1から設計することは初めての経験である。しかし、性格はまじめでどちらかというとコツコツとこなすタイプである。

私が、そのときリーダーに言ったことは..

人は誰でも、すぐれた面がある。

「あいつは、駄目だ!」「あの人は、良い点などない!」と言い切る人は、その人自身の「心の窓」が、曇っていて相手の良い面が見えなくなっているんだよ。

確かに良いところが、人より少ない人もいるかもしれないが、探したら必ず見つかる。試しに、周りの人に 聞いてみてごらん..。 「こんなよい点があります」という答えが返ってくるよ。

「1つの優れた部分」を認めて、それを「周りに伝える」ことから、本人の力が発揮されると思うよ。

 ・その人の良い事は、本人がいないところで、「褒(ほ)めること」
 ・悪い事は、「直に本人に伝えること」

これは「認めてもらえてる」という気持ちが、益々その人の力を発揮させてくれるから..。

「悪い点ばかりを責める」「本人のいないところで、こきおろす」では、チームワークは絶対に維持できないと思う。しかし、現実にはこの様な事をやっている人が多いのも事実(特に、リーダーに..)。

誰しもが、いきなり「ベテラン」にはなり得ないもの。プロジェクトを通じ、人間を育てるのもリーダーとしての立派な役目だと思う。

人を育てるためのコストは、プロジェクト管理(コスト)から外して考えるから、是非彼を一人前にしてほしい!

人は「褒められること」で、持っている力(隠れた力・・)が発揮できると思っている。リーダーには、そんな「心の余裕」をもって仕事をしてほしいと思う。

*1 ソフトウェアの設定や設計を調整し、ユーザの好みに合わせて作り変えること。