受身

皆さんは、相田 みつを(あいだ みつを)をご存知だろうか?

相田 みつを(本名 相田 光男、1924年5月20日 - 1991年12月17日)は、栃木県足利市生まれの詩人・書家である。
彼の詩は、日めくり詩集として有名なので、一度はご覧になったことがあると思う。

以前、「素晴らしい人との出会い」という記事で『ピンチの裏側』で有名な九州の詩人「山本 良樹」さんを紹介した。

同じものを見たり経験しても、感じ方に大きな違いがある。 何故だろうか・・。 きっと「心の透明度」の違いのような気がする。
日々、磨いていないとくもってしまうのだろう・・。

相田 みつをの有名な詩「受身」。皆さんは、どう感じるだろうか・・。

受身 -負ける練習-

 柔道の基本は受身
 受身とは投げ飛ばされる練習 人の前で叩きつけられる練習
 人の前でころぶ練習 人の前で負ける練習です。

 つまり、人の前で失敗をしたり、恥をさらす練習です。
 自分のカッコの悪さを
 多くの人の前で、ぶざまにさらけ出す練習
 それが受身です。

 柔道の基本では
 カッコよく勝つことを教えない
 素直にころぶことを教える いさぎよく負けることを教える

 長い人生には
 カッコよく勝つことよりも
 ぶざまに負けたり
 だらしなく恥をさらすことのほうが はるかに多いからです。
 だから柔道では 初めに負け方を教える
 しかも、本腰を入れて 負けることを教える

 その代わり
 ころんでもすぐ起き上がる 負けてもすぐ立ち直る
 それが受身の極意
 極意が身につけば達人だ

 若者よ 失敗を気にするな
 負けるときにはさらりと負けるがいい
 口惜しいときには「こんちくしょう!!」
 と、正直に叫ぶがいい 弁解なんか一切するな
 泣きたいときには 思いきり泣くがいい
 やせ我慢などすることはない

 そのかわり
 スカッーと泣いて ケロリと止めるんだ
 早くから勝つことを覚えるな
 負けることをうんと学べ 恥をさらすことにうまくなれ
 そして下積みや下働きの 苦しみをたっぷり体験することだ
 体験したものは身につく
 身についたものー それはほんものだ

 若者よ
 頭と体のやわらかいうちに 受身をうんと習っておけ
 受身さえ身につけておけば
 何回失敗しても
 すぐに立ち直ることができるから・・・・・・

 そして
 負け方や受身の ほんとうに身についた人間が
 世の中の悲しみや苦しみに耐えて
 ひと(他人)の胸の痛みを 心の底から理解できる
 やさしく暖かい人間になれるんです

 そういう悲しみに耐えた 暖かいこころの人間のことを
 観音さま、仏さま、と呼ぶんです。