自産自消

これは、日経MJの記事である。

地域の畑や田んぼで生産された農産物などを、その地域で消費するという『地産地消』は聞いたことがある。自産自消(じさんじしょう)は、自宅近くの畑や田んぼで、自分で作った野菜や米などの農作物を自分の家庭で消費することで、地産地消の究極版である。

記事によると、ソースやドレッシングを自作する男性が3〜5年前は6.0%、現在は8.6%。今後は9.4%になると予想している。

また、「物を直して使う」機運が高まっているそうで、衣料品や雑貨など、昔は使い捨てが当たり前であったが、自産自消派の人達を中心に、「自分で修繕して使い続ける」人が急増しているという。
例えばズボンやスカートなどは、自産自消派だと41.7%が自分で直して使うと答えているのに対し、非自産自消派だと22.7%である。

しかし、よくよく考えてみれば昔はそれが当たり前であった。私の実家でも、昔は「味噌」「醤油」は自家製であった。味も家庭により異なり、姑から嫁に受け継がれていくものだったように思う。

今は、スーパーに行けば何でも揃う時代。以前「第6次産業」のところで書いた、高度経済成長時代の「大量生産・大量消費」の終焉かもしれない。

この不景気の時代、極端に業績を伸ばしている業種がある。それは、「カット野菜」である。見た目の悪い曲がったキュウリ、少し青虫に食われた野菜・・。以前は、これらの野菜は店頭にならばず廃棄処分となっていた。これに目を付けた業者が、ただ同然?で買ってきた野菜をカットし量販店やレストランなどに納入したのが始まりだといわれている。

カット野菜業界の中で有名なのは、「サラダクラブ」である。キユーピー三菱商事が協同で設立した会社で製造されている。皆さんの中にもスーパーなどの店頭で見かけた方も多いと思う。昨年末の日経新聞の記事によると、量販店向けカット野菜の市場規模は約400億円でこの2−3年で100億円拡大したという。
購買層は単身、夫婦だけの世帯が中心で、多品目の野菜が手軽に食べられるのが受けているそうである。

私が知っているお客様の中にも、カット野菜で業績を伸ばしている会社がある。しかし、生産は国内ではなく中国が主体である。ギョウザ事件や農薬問題で批判を浴びている中国である。
カットされてしまえば、産地どころか品質までも中々消費者が見分け難くなる。食の安全をいかに保っていくかが、新たな課題である。

今年2月のNHK番組で、福岡県志摩町のハーブ生産者のことが放送されていた。志摩町は、糸島半島に位置する素晴らしい土地である。

この地でハーブを生産する久保田 稔さん(61)は、30種類以上を栽培。顧客であるレストランのシェフの細かな要望に応えるため、生産方法や種類を変えているという。

久保田さんが、最も多く育てているのはチャービル(仏名セルフィーユ)。ほのかな甘い香りが特徴で、肉や魚料理、スープなどに使われる。香りや色つやが最高の状態で出荷するため、久保田さんは畑の様子を毎日観察しながら、水やりや収穫のタイミングを慎重に計っている。

顧客の細かな要望に応えようとする久保田さんの考え方・姿勢は、業種が違う我々に多くの示唆を与えるものである。