GM破綻・・

6月1日、ついにアメリカの自動車最大手ゼネラル・モーターズが「連邦破産法11条」の適用を申請した。連邦破産法は会社の清算を目指すものではなく、再生を目指すものなのでGMがすぐになくなるわけではない。それでも、GMの破綻によって、GMと取引のある企業、特に売掛債権がある企業には大きな影響が出ることになる。日本企業でも、13社ほどの名前が挙がっている。その関連企業まで含めれば影響は、かなり大きなものになるだろう・・。

今朝のマスコミ報道では、アメリカ・カナダの両政府がGMの72%(アメリカ:60%、カナダ:12%)の株式を取得し、事実上、国有化される。GMはアメリ自由主義の象徴のように扱われてきましたが、自由主義は崩壊し、社会主義の国々と同じように国によって管理される。
もし、他国が今回と同等の処置をしたらアメリカはどの様な反応を示しただろう・・。昔の「日本車バッシング」の時のように、「アンフェアだ!」とアグレッシブな行動に出ただろう。今回のGMの国有化は、アメリカのプライドを捨てて自国企業を救済したのである。

今後、GM破綻は一企業の破綻以上の影響が出ると思われる。今朝の新聞・テレビでの報道を見ても「なぜ破綻したのか・・?」という内容が多かった。今年の2月に放送されたNHKの番組で、GMがこの数年間でどのような延命策を行ってきたのかが報じられた。
GMはとっくに競争力を失っていたのに、GMAC(アメリカの金融会社。主に自動車ローンを扱い、かつてはGMの100%完全子会社だった)を使って延命策を行ってきた。それが今回のように影響を大きくしてしまった最大の原因だと言われている。競争力が失われた4年前だったらもっと簡単に清算できていたはず。ブッシュ政権が、この問題に対し何も関与してこなかったツケが、今巨大な資本注入をする羽目になったといえる。

また、市場や環境への対応の遅れも指摘されている。トヨタをはじめ競合他社が「CO2削減」に向けた技術開発、ハイブリッド車や電気自動車の開発に躍起となっているが、この分野でもGMは大きく出遅れている。

今回のニュースを見て、巨大企業による「大量生産・大量消費・・の時代は終焉を迎えた!」と感じた。今回のGM破綻劇。これは自由主義経済の転換点である。市場のなすがままでは、良い方向に向かうとは限らないという証明ではないだろうか・・?
経営者にとって、撤退を決断するのは辛いことではあるが、撤退を長引かせるのは傷口を大きくするだけということも理解しておくべきである。