長期的視野にたって、今を考える!

Habuyoshiharu 羽生 善治(はぶ よしはる)氏は、通算タイトル獲得数が大山 康晴に次いで歴代2位の天才棋士である。

彼がテレビ番組に出演し、言った言葉である。

 ・今日勝つ一番高い確率の手を指すことは、10年後に最も
  リスクがある(負ける確率の高い)ことになる。
 ・勝率(数字/データ)は過去を見ている。勝負は未来に
  ある。

彼は未だ30代であるが、さすがに「物事の本質」を見ている。平均レベルの人間では、何歳になってもこの境地には達することは困難である。

 
我々の廻りを見渡しても、このようなことは常に起こっている。

例えばビジネスマンの世界で、日常で最も安全と思われる手は、上司または、上層部の意向に沿って(悪くいえば迎合して)発言し、行動することである。本質的な意味で、主体的に考えて行動していない。これで自分は安泰と思っている・・。

しかしその人間が定年退職、またはリストラで解雇されたときは悲劇である。定年後何をしていいのかわからないで、ウロウロ、オロオロ、ボーッとしているのが多い。

リストラになったときはもっと深刻である。「裏切られた」といって切歯扼腕(せっしやくわん)している人をよく見かける。しかし会社や上司を恨んでも後の祭りである。
全てはその時点で最も安全と思う手を指してきた自分の問題である!

経営においても、このようなことはより多く見かけられる。

単年度の売上や利益ばかりが気になり、10年後の世界を見ていない。いまや単年度どころか四半期レベルの数字が話題になっている。今回の金融パニックの問題も、単に現状で最も儲かるものは何か・・ だけをターゲットにした集団的な金融工学の浅薄な適用である。

システム化の例でも、一時、効率化、コスト削減ということで、外注化、アウトソーシング、オフショア開発がもてはやされた。
しかしそこで成功した例は少ない。本当に業績に貢献したのだろうか・・? 反って脚を引っ張ったのではないだろうか・・?

一つはシステムがブラックボックス化し、社内で誰もシステムの中身がわからず、自分たちのビジネスのためになるシステム構築のイメージを持つことができないことである。
そしてベンダーの提案を機械的な手法に従って評価し、仕事をしていると錯覚していないだろうか・・。

それに付随して、ビジネスの要求に応じた開発や改修のスピードが出ないことも問題である。この要因として二者間契約等の手続き的な問題も大きい。これらは薄っぺらな効率化を指向し、自分たちが主体性や責任を持たないで、安易にシステムを使おうとしたところにある。

目先のことばかりが優先され、将来を見失う・・!! 常に長期的視野にたった物の考え方、判断ができるようにならねばと思う。