人材育成

現代のシステムエンジニア(SE)に求められる技術は、多岐にわたっている。
システムエンジニアリング、ソフトウエアエンジニアリング、セキュリティやネットワーク、アプリケーションの業務知識、プロジェクトマネジメント・・等々である。

人材育成は、企業や社会を正常に発展させていくためは最も重要なことである。IT企業の中には、厳しい経営環境の中、人材育成に熱心に取り組んでいる企業もある。

しかし、人材育成に熱心に取り組んでいる企業の中には、業績にその投資効果が中々あらわれてこなかったり、せっかく育成した優秀な人材が退職し、有名大手企業に採用されると云うケースが発生している。

この企業のどこに問題があったのであろうか・・。

それは育成そのものの問題ではなく、育成した成果を活用するところに問題があるのである。企業の目的、ビジョンやビジネス戦略と育成との間にしっかりした関連性を認識していなかったことにある。

だから育成した成果が、ビジネス戦略にどの程度貢献しているかを具体的に評価していない。また、そのようなことについて、トップマネジメント層がきちんと認識していないことが問題である。
彼らは、ただ育成さえすれば何とかなるという観念的思いだけで育成政策を推進しているのである。

人材育成でのポイントは、次の2点である。

 ?絶対的能力のレベルアップ
 ?その能力を何に使うか

絶対的能力のレベルを上げるということは、人生という長い眼で見て大きな成果を挙げるための基礎を作ることである。若い頃の教育がこれに相当する。
これは、主として家庭教育や学校教育に求められることかも知れない・・。

何をするにも、基礎的な能力は基本であり、この能力は、促成栽培ができないのである。

それに対して企業が育成するのは、自分の土俵での成果を挙げるためである。企業を取り巻く環境は、いろいろと変化している。その変化を敏感に感じ取って、その企業(或いは、なかで働くエンジニア達・・)の保有する技術の実力を判断し俊敏に行動できることが重要である。

前述の企業は、人材育成を学校教育の延長としてしか認識していなかったのではないだろうか・・。だから、他の企業から見ればその企業は「優秀な人材を輩出してくれる学校」だったのかも知れない。