おしつけOJT

OJTとは「オン・ザ・ジョブ・トレーニング:On-the-Job Training」の略で、通常の勤務を通じて必要な技能を先輩から後輩へ伝える訓練のことを云う。日本の企業では、新人研修後によく行われる技法である。
製造現場では、団塊の世代の熟練工が次々と現場を去り「技能伝承をいかに行うか・・!」は、非常に重要な課題である。

先週の日経産業新聞に、山岡製作所の取り組みが紹介されていた。2009年版中小企業白書にも紹介されていた手法で、『おしつけOJT』と呼ばれる手法である。

熟練技術・技能者は、自分の技能をなかなか教えたがらないため、「おしつけOJT」では教育する側に教育ノルマを課し、指導を受けた若手に、いつ、だれから、何を学んだのかを「OJT記録台帳」に記入して提出させるというものである。 会社は、その内容を熟練者の人事考課に反映させる。

私がいるITの業界も、広義の製造業といえる。しかし、コンピュータ技術の進歩は日進月歩である。30年前に習得した技術がそのまま通用することはまずない。

IT業界では、前述の例とは逆に最新の技術についていけない「熟練エンジニア」をどう活用していくかも課題となっている。

企業の中には、熟練エンジニア達を軽視しひどい場合は、時代に乗り遅れた「じゃま者」のような扱いをするところもある。勿論、時流にうまく乗った熟練エンジニアもいるが、数的にはごく少数である。

一方、最新技術を習得しているエンジニアの中には、業務知識や利用技術、お客様の要望を上手く聞き出すコミュニケーション技術等 に乏しい者も多い。

技術進歩の激しいIT業界では、エンジニアの世代間格差をどの様に埋めていくかが、重要なことだと思っている。

山岡製作所の取り組みも、熟練工にノルマを課すやり方だけで、うまく機能するのか疑問である。世代間格差のミス・コミュニケーションを埋める仕組みが必要だろうと感じる。