「買いたい!」のスイッチを押す方法

これは、最近話題になっている本のタイトルである。著者は、小坂 裕司(こさか ゆうじ)氏。

小坂氏は、「オラクルひと・しくみ研究所」の代表であり、本のサブタイトル「消費者の心と行動を読み解く」でも分かる通り、人の感性と行動を研究されている方である。

本の中で、興味深い実験が紹介されている。

それは、森永乳業の「黄金比率プリン」の売上をいかに伸ばしたかというものである。一般のスーパーでは、せいぜい月に20〜50個しか売れないプリンが、POP広告を工夫したことにより月に1,000個以上を売り上げたというものである。

しかし、売れたのは実験を行った店舗だけであり、他のスーパーでは、売上は変わらなかったのである。

この実験では、POP広告に「このプリンを開発したのは、プリン王だったのです …」とプリンを開発した人に関する広告入れたのである。

これが口コミで伝わり、今では遠くからわざわざこの店に買いに来るという現象を引き起こしているそうである。

最近は、デフレ現象が目立ち、商品のほとんどは低価格だけが訴求され、その商品を買うことにより気持ちがワクワクすることはあまりない。

例えば、ユニクロヒートテック、日産のGT-Rなど価格競争は行っていない。今の時代は、商品が売れない時代ではなく、消費者のワクワクする気持ちを育てることが行われなくなった時代ではないだろうか・・?

以前、「看板の効果」という記事を書いた。これは、従来お店の名前だけだった看板を「お店の一押しメニュー」を全面に出すことにより、売上が伸びたという例である。

前述の実験と、どこか通ずるものを感じる。

最近の人は、すぐに回答を求めたがる。だから、巷ではHowTo本が売れたり、セミナーが大盛況だったりします。

この本は、そのような正解は一切書かれていない。考えるためのフレームワークがあるだけです。現代病に陥っている我々には、発想を転換するための良書だと思う。