こだわり・・
龍馬伝は、高視聴率が続くNHKの大河ドラマである。皆さんの中にも、毎週ご覧になっている方も多いかと思う。
演出を担当するのが、巨匠と云われている「大友 啓史(おおとも けいし)」氏。ハゲタカ(2007年)、白洲次郎(2009年)の演出も手がけた人物である。
NHKでは、彼ほどの大物になると年に一・二本のドラマを撮る程度で、大河ドラマを担当するのは珍しいことである。
龍馬伝は、次の2点にこだわって制作されている。
第1は、撮影に使用しているカメラ。
ドラマの撮影には、「プログレッシブカメラ(通称30Pカメラ)」を使用している。通常、ドラマ撮影というと高精細のカメラを使用するが、大友はあえてこのカメラにこだわったのである。
このカメラにより、映画のような「奥行きのある質感」の映像を作ることができる。また、カメラの「長まわし」によって持久力、持続力のある画が撮れるメリットもでている。
第2は、カット割り。
通常ドラマでは、ワンカットが20秒から1分程度で制作されるという。編集に多くの時間をかけることができないため、演出家が事前に台本に細かくカット割りをして制作して行く。しかし、龍馬伝の台本は真っ白で、ワンカット約20分と云う長いシーンで撮影される。
長い時間で撮ることにより、演じる役者も想定できないほどの感情の高ぶりや、役者間の様々の人間描写が描ける。
また、カメラマンもリハーサル後、各自が撮影したい場所で好きなだけ撮り、それを編集室で全部見て、いいカットを決めていくのだそうだ。
経済が安定している時期は、画一的(金太郎飴的)な人間が重宝がられ、逆に他人と違った考え方・方法は敬遠されてきた。
しかし、時代が不透明になると「個性」や「オリジナリティ」が求められる。坂本龍馬の生きた時代は、まさしく時代の大きな転換期であった。
龍馬の生まれた高知県(土佐)は排他的で、自己主張が強く、まとまりがない等あまり良いことを云われない。
坂本龍馬のようなある種「感覚的」な人物は、この様な土地柄では芽が出なかったのではないか・・。
視聴者が現代と龍馬の生きた混乱の時代をオーパラップさせていることが、高視聴率を維持している理由かもしれない・・。
晩秋の桂浜(高知)