プッシュとプル?

前回、「利用者の立場にたって..」で新幹線の予約の話を書いたが、今回はその続きである。

東京駅でJR東海の予約端末をやっとの思いで探し、切符を握りしめ「これで大阪に戻れる!」と思ったのもつかの間・・。

新幹線中央改札口の前は、大勢の人でごった返していた。何事かと思い、改札のテロップを見ると「昨夜からの集中豪雨のため、運行を見合わせています..」の文字。

2日続けて、新幹線が動いていないのである。案内の職員に状況を確認すると、今朝の8時から運休しているとのこと。

JR東海の「エクスプレス予約」では、メールサービスを選択する欄がある。この中に「ご利用内容通知メール」というチェック欄がある。チェックをすると列車の出発1〜2時間前にメールで知らせてくれるものである。

今回は、9時前にこのメールが届いた。しかし、その時間帯はすでに「新幹線は運休」していたのである。これって、どういうこと・・?

普段は、ほとんど意味のない?と思う「発車予告」を送るくらいなら「ただいま新幹線は運休しています・・」というメールが送られた方が、余程「利用者にとっては有益な情報」だと思うのだが..。
(それ以前に端末で、切符を発券する時点で何かしらの警告がほしかった)

インターネットや携帯電話は、必要な情報を簡単・瞬時に得るためには非常に便利な手段である。その利用形態のほとんどは、利用者側から検索エンジン等を使って情報を取りに行く「プル(PULL)」が一般的である。

これに対しサーバー側から、利用者(登録者)に宛て、情報を送ってくれることをプッシュ(PUSH)と言う。エクスプレス予約に、このプッシュ機能があれば無駄足を踏まずにすんだ人が沢山いたに違いない。

この「プッシュ」と「プル」は、携帯電話では当たり前に行われている。みなさんも良く利用する携帯のプッシュ・メールである。メールが届いているかどうかを、いちいち携帯に問い合わせる人は少ないと思う。メールサーバーは、メールが届くと自動的に利用者の携帯に通知しているのである。

日本では携帯電話にメール機能が搭載された当初から、携帯電話会社が提供するメールシステム(ソフトバンクモバイルのMMS、NTTドコモi-modeメール、auEzwebメールなど)でプッシュ・メールが採用されています。

JR東海の「エクスプレス予約」システムを開発した人は、「サービス」をどのように考えていたのだろうか?

人間は、(今の)自分にとって不要な情報は聞き流し、逆に「必要な情報」は、手段を問わず集めようとするものである。この人間の心理を突いたサービスが「真のサービス!」と言えると思う。

IT業界では、お客様に情報を提供することが非常に重要である。これだけ情報が氾濫し、情報取得の手段がある時代でも、お客様は情報に飢えているのである。お客様にとって有意義な情報を提供できれば、こちらの言うことに耳を傾けてくれる。

日頃から、お客様の業界の動向に注意を払い、お客先が興味を示す話題提供をする努力が必要だと思います。