アッティラ大王の統率のルール

モンゴルのジンギス・ハーンといえば欧州では恐怖の代名詞として忌(い)み嫌われている人物ですが、このジンギス・ハーンと並んで恐れられている人物がもう一人います。それが西暦451年頃、中央アジアの草原地帯に君臨した遊牧騎馬民族フン族 最盛期の大王ことアッティラ大王です。

アッティラ大王は人口の少なかった時代に、なんと70万人もの騎馬兵を統率して大遠征を繰り返していたのですが、その"統率のルール"は、

悪い報告をした部下を褒めよ
悪い報告をしなかった部下を罰せよ

だそうである。

また、ナポレオンも「悪い報告は、早く、良い報告はゆっくりでも良い」と同じような事を言っている。

実に単純明快なルールですが、これこそが70万人もの騎馬兵を手足のように操る統率力の原点だったのである。

アッティラ大王の2つのルールは実に明快で、誰でも直ぐにできそうだが、それはとんでもない誤りである。これほど実践が難しいルールはない。

面白いことに「悪い情報から伝えろ!と日頃から公言している」と豪語している人に限って、いざ悪い情報を伝えたら『なにやってんだ!』と頭ごなしに叱る。

このルールを本気で実践するには、部下に「報告しろ!」と言って相手を変えるのではなく、自分が先に変わらなければできないのである。
すなわち相手に悪い事を報告させるのが先ではなく、自分が悪い報告を受け取った時に褒めることが先なのである。

悪い報告が本当に直ぐに上がってくるようにするには、報告をする方より、報告を受ける側の姿勢の方がはるかに大事である。これが報(告)・連(絡)・相(談)の最大のポイントである。

悪い報告を、如何に、迅速に、風通しよく、TOPに伝わる組織にするか」という事と「悪い情報に接した際、如何に、迅速に、トップダウン方式で決断・支持・対応するか」という事が重要である。