筋を通す

琴電ことでん瓦町駅を出て、右手に巨大なタヌキの看板がある。「福」と書かれたのれんを、愛敬ある表情でくぐっている。「たぬき横丁」の愛称で親しまれる栄筋(さかえすじ)商店街は、香川高松の会社員らが御用達の飲食店街である。

大阪では東西に走る道を「通(とおり)」と呼び、南北に走る道を「筋(すじ)」と云う。本町通・長堀通、御堂(みどう)筋・谷町筋などがある。道路の名前で方角がわかり、非常に便利である。「たぬき横丁」も南北に延びた栄筋に沿って栄えた商店街である。

昔から町の発展に道路は大きな役割を果たしてきた。道ができることにより、人の往来が活発になり、道を中心に人が集まってくる。人が集まると文化の交流が活発に行われ、発展する。

昔から、『筋を通す』と云う言葉がある。辞書で調べると、「首尾を一貫させる」とか「道理にかなうようにする」と云う意味である。もう少し簡単に云えば「人間としての正しい道を行く」と云うことである。

昨年のリーマンショック以来、企業ではあらゆる改革が行われている。生き残りをかけたライバルとの経営統合・・。今までの常識では、考えられないようなことが起きている。

政治の世界に目を向けると、戦後日本の長きにわたって政権党であり続けた自民党が選挙で大敗・・。従来の常識が、次々と壊され新たな仕組みや枠組みができていく。

社会や経済環境の変化に応じ、様々に企業が変わっていくことは悪いことではない・・。しかし、人の真似事に走ったり、道理から外れることはやってはならない・・。

勇気を持って『筋を通す』と云うことも大事である。一旦、間違った方向に付けた道は、中々元には戻せないのである。

Img_4665


菊池 寛(きくち かん 18881226日 - 194836日)は、小説家・劇作家であり文藝春秋社を創設した実業家でもある。高松市には、「菊池寛通り」の愛称が付けられている道路がある。
Img_4751