看板の効果

外食産業の不振が続いている。景気低迷で、消費者が外食から「内食(うちしょく)」へ移行していることが原因と考えられる。

先月の日経MJの記事に、こんな状況の中でも工夫をして業績を伸ばしている事例が載っていた。改善のポイントは、店先に掲げる「看板」である。

記事によると、今まで店の名前だけだったところに「おいしい焼肉」と入れたところ売上が前年同月比8%増加。変更後の看板には、店名が小さく書かれているだけ・・。

ある店では、看板に一押しメニューである餃子の写真と「表面パリッと、中はジューシー! 50年の伝統の味」と謳い文句を書いたところ、日商4万円台前半から5万5千円に増加したそうである。

店の看板に「店名」だけを入れていることが多いが、これは本当に役立っているのか・・?

知名度と評判が知れ渡っている店ならともかく、大半は、それほど知られていないのが現実である。顧客の行動を考えたとき、その店に入るかどうかを左右する最大のポイントは、店にある看板である。看板にわかりやすいメッセージを入れておくことは重要なことである。

1995年頃、小室ブームを巻き起こした「小室 哲哉(こむろ てつや)」。彼の曲には、一つの共通点があると云われている。(演歌などの)今までの歌は、盛り上がりの部分(サビ)は歌の後半にあった。しかし、小室の歌は、サビの部分を一番前に持ってきたのである。

当時、若者達はCDやMDプレーヤーで音楽を聴いていた。彼らは、曲の頭出しから5秒間で、その曲の善し悪しを判断するという。小室は、この若者の行動パターンを計算し作曲していたというのである。

最近は、企業もお店もホームページを使って情報発信をする。しかし、ホームページへのアクセス者のうち、トップページを読んだ後も他のページを読み続けてくれる人というのは、そう多くはない。

新規アクセス者(初めてそのホームページを訪れた人)の場合、その割合は、40〜50%程度と云われている。

つまり、初めてホームページのトップページを訪れた人のうち、トップページ以外の他のページも読んでくれる人は、その半分程度、ということになる。

インターネットユーザーの特徴を端的に言うと『非常に忙しく、せっかち』である。看板と同様、トップページで伝えたい情報を的確に伝えることが重要である。

しかし、実際に企業のホームページを見ると何処も同じような構成である。全国に拠点を置く企業においても、本社(首都圏)が中心の内容であり、地方の特色・戦略を全面に出しているものが少ない。

百貨店がコンビニに抜かれ、今はそのコンビニがネット販売に抜かれる時代である・・。自社のアドバンテージを全面に出した『』が必要なのである。