法話に学ぶ

以前、日経産業新聞に面白い記事が載っていました。それは、法然院(京都)の貫主梶田 真章(かじた しんしょう)さんの法話に関するものです。

梶田さんは、「法話はある意味でビジネス会話の対極にある」と云っています。その主旨は、『今日教えたことは、今すぐ分からなくてもよい』のだそうです。

法話では、

?直ぐに理解することを求めない
?理路整然と具体的に語る
?何度も繰り返す

ことが必要だと云っています。

梶田さんは、見方、表現の仕方を変えながら、同じメッセージを何度も繰り返し伝えるそうです。すぐに理解してくれなくても腹を立てることなく、辛抱強く待っているそうです。

営業トーク等は、すぐに理解してもらわないといけないかと思いますが、部下への指導などは、梶田さんが云う法話と同じ要件が求められるような気がします。

今理解されなくても5年、10年経ったときに思い出してくれることを期待して・・

夜空に浮かび上がる「薬王寺徳島県)」の塔
Yakuoji

同じ認識に立つ

会議はコミュニケーションの手段・場の一つです。

コミュニケーションで大切なのは、まず「お互いが同じ認識に立っているか?」と云うことです。同じ土俵に乗って議論していなければ、時間をいくら掛けても恐らく結論は出ないでしょう・・。単なる「時間の浪費」です。

次に大切なことは、「結論に対する双方の想いが一致しているか?」と云うことです。相手の状況が良く分かってから、(相手のために)自分ができることは何か!を考え、お互い目的に向かってベクトルを合わすことが重要です。

一方的に、こちらの意見も聞かずに、自分の考えだけを喋り通す人。一見、相手の意見を聞いているように見えるが、質問になると、それを無視し、自分の考えだけを押しつける人・・。

大勢が参加している会議でも、発言しているのは一握りの人達だけ・・。メールで済むような内容の、形式的な会議・・等々。

さて、皆さんの会社の会議はいかがでしょうか?


桂浜(高知)に凛と立つ龍馬像Dscf0062

「ソフトウェア工房」 スタート!

今日から記事のカテゴリに「ソフトウェア工房」を追加しました。プログラミングの話題を中心に興味ある話題を分かり易く解説できればと思います。

私が初めてパソコン上でソフトウェアを開発したのが、昭和60年(1985年)。当時は、汎用機やオフィスコンピュータ(略称はオフコン)が主流で、パソコン上でまともなソフトウェアができるのか・・!? と思われていた時代です。私も周囲から冷ややかな目で見られていました。

以来、公私ともにパソコンの魅力にとりつかれ、現在でもパソコンに向かってプログラムを作ることをしています。

個人で最初に購入したパソコンは、NECラップトップパソコン「PC-9801 LS5」です。本体の値段が 866,000円 と今のパソコンの約5倍です。今思えば良く買ったと思います。

さて、第1回目は、『ウインドウのバージョンを取得する』方法です。

マイクロソフトのウインドウ(Windows)は、「Windows95」から昨年発売された「Windows7」まで度々バージョンアップが繰り返されてきました。

その都度、いろいろな機能が付加されたり、機能がアップがされています。使用者にとっては魅力的なバージョンアップも、プログラムを作る側から見ると少々厄介なことがあります。それは、バージョンによって使える機能や機能の呼出方法が異なるためです。

事前にプログラムが稼働するウインドウのバージョンを取得し、プログラムの挙動を変えることができたら、同じプログラムでも異なる環境でプログラムを実行することができます。

ウインドウのバージョンは、次の手順で取得することができます。これらの技術情報は、マイクロソフトMSDNMicrosoft Developer Network)に載っています。興味のある方は、「こちら」のサイトを参照してください。

?まずOSのバージョンを格納する構造体を用意します。構造は、次の通りです。
 typedef struct _OSVERSIONINFO {
   DWORD dwOSVersionInfoSize;  // structure size
   DWORD dwMajorVersion;             // major version
   DWORD dwMinorVersion;             // minor version
   DWORD dwBuildNumber;             // build number
   DWORD dwPlatformId;                  // platform ID
   TCHAR szCSDVersion[128];        // additional string
   WORD  wServicePackMajor;        // SP major version
   WORD  wServicePackMinor;        // SP minor version
   WORD  wSuiteMask;                      // product suites
   BYTE  wProductType;                   // additional information
   BYTE  wReserved;                          // reserved
 } OSVERSIONINFOEX, *POSVERSIONINFOEX, *LPOSVERSIONINFOEX;

?Windows APIの「GetVersionEx」を使って構造体に情報を読み込みます。
  Windows APIとは、ウインドウの各機能にアクセスするためにあらかじめ用意された機能です。

?読み込まれた「dwMajorVersion」と「dwMinorVersion」がOSのバージョン番号になります。
  取得した「dwMajorVersion」と「dwMinorVersion」の組合せでバージョンを表現します。

ウインドウズは、大きく9X系NT系の2つのプラットホームに分かれます。

取得した「dwPlatformId」が "1" の場合は、9X系 (Windows95Windows98Windows98(SE)WindowsMe)。"2" の場合は、NT系 (WindowsNTWindows2000WindowsXPWindows2003Windows2008Windows7) と云うことになります。

最近のOSのバージョンを表にすると下の表になります。

ここで疑問が出てきます。表のバージョン番号(Version number)を見ると、異なるOSにもかかわらずバージョン番号が同じものがあります。

これは、OSの中核(カーネル)が同じことを意味します。例えば「Windows7」は「Windows2008 R2」をベースに作られていることが分かります。

また、バージョン番号が同じでもOSの作成されたタイミングが異なることもあります。これは構造体の「dwBuildNumber」で判断することができます。

Osversion_2

一太郎、25周年!

今月5日に一太郎の新バージョン「一太郎 2010 (オフィス製品は、JUST Suite 2010)」が発売された。

今回発売された一太郎には、特別の意味がある。それは、一太郎が発売されてから25周年にあたると云うことである。

バージョンアップの案内には、見開きでジャストシステムの新社長「福良 伴昭(ふくら ともあき)」氏のメッセージが載っている。

以前、このブログでも「倒産の危機。ジャストシステムよどこへ行く」でキーエンスの増資受け入れのことを書いた。そこでも書いたが、福良氏と云えば一太郎の開発者である。

JS-WORDアスキーから販売)を開発したのが20歳のとき。それからの25年は、一太郎と共に歩んできたことになる。彼の四半世紀の歴史と一太郎にかける想いが案内の小冊子には綴られている。

ジャストシステムの大きな転機となったのは『一太郎 Ver.4』のときである。当時のパソコンのOS(オペレーティングシステム)は、MS-DOSが主流であった。
マイクロソフトが、MS-DOS上で動くWindowsを出したのもこの頃である。マイクロソフトは、Windows上でのソフトウェア開発をソフトウェアベンダに促したが、上手くいっていないときでもあった。

その頃、ジャストシステムの打ち出したのが、独自のウインドウシステム「ジャストウインドウ」である。ワープロソフトでは、絶対的地位にあったジャストシステムが打ち出した戦略である。

しかし、開発の管理体制の不備により品質問題が発生。ソフトウェアベンダもジャストウインドウの戦略には同調せず、ジャストシステムの独自路線は崩れることとなった。

その後、マイクロソフトは従来のようなMS-DOSの上で動く「外付けのウインドウ」ではなく、完全にOSとして独立している「Windows95」を発売した。
Windows95によってマイクロソフトは圧倒的地位を確立し、ワープロソフト(Word)もOSと共にシェアを拡大していったのである。

マイクロソフトに対し正面から勝負を挑んで敗北していった企業は数多くある・・。ジャストシステムもその中の一社である。

福良氏の言葉にあった「すべてはお客様とともに」の精神で、これからも発展していって欲しいと思う。日本のソフトウエア業界のためにも・・。

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トヨタのリコール問題から学ぶもの・・

トヨタのリコール問題は、毎日のようにテレビや新聞等のマスコミに取り上げられている。最初は、欧米でのニュースの様に報じられていたが、ここに来て人気車種「プリウス」のブレーキ問題の発生により、国内でも大きな問題となっている。

この問題を見ていて、対応に次の2点の問題点があったように思う。

1.問題に対する初期対応のまずさ。

プリウスのブレーキに不具合問題が発覚したとき、トヨタの常務が記者会見し、原因は、「運転者の感覚の問題」とトヨタの責任回避ともとれる発言をした。しかし、その後「アンチロック・ブレーキ・システム(ABS)の電子制御プログラムを修正した」と云うことが発覚した。

この報道を見ていて思い出すのは、「船場吉兆」の料理使い回し事件と「赤福」の消費期限偽装事件である。船場吉兆は、事件発覚直後平役員が記者会見し、原因は『従業員のパートが勝手にやったこと・・』と原因のすべてを従業員に転嫁した。
これにより、従業員から数々の内部告発があり、船場吉兆は倒産したのである。

一方、赤福は最初の会見でトップが出てきて、『本当に申し訳ない』という姿勢で会社側の責任を認める会見を行い、今でも操業が続いている。

今回のトヨタ船場吉兆も問題を甘く見ていたのではないか・・。クレームの程度により、誰がそれに対し謝罪なり説明をするかによって世論(お客様)の受け止め方が大きく変わると云うことを・・。

船場吉兆は、従業員を敵に回してしまった。トヨタも車のオーナー(運転者)を敵に回すようなことがないよう、今後の対応は慎重にすべきである。

2.品質問題

欧米で発生した、アクセルペダルの不具合による大量リコール問題。車一台は、約2〜3万点の部品から作られているという。今回問題が発生した部品も、その中の一部である。

品質には、どこよりも厳しいトヨタで何故この様な問題が発生したのか、私なりにその原因を考えてみた。

 ?部品の共通化を進めたために、共通部品の品質問題が大量のリコールにつながった。
 ?コストダウンを過度に行ったために、品質を保てなくなった。
 ?部品調達を海外の部品メーカーに切り替えたため、部品の設計・品質が下請け任せとなり、
  自社での品質検査がおろそかになった。
 ?度重なるモデルチェンジで、品質チェック体制が不十分であった。
 ?品質チェックされた共通部品といえども、形が異なる車での品質は十分ではなかった。

海外からは「日本の製品は品質が高い」と高い評価を受けていたが、今回の問題は日本の製造業を代表するトヨタが、信用を大きく失墜させる結果となってしまった・・。

日本の製造業の多くは、コストダウンの要求から製造拠点を人件費の安い中国や東南アジアにシフトしてきた。また、製品の多くも熟練工を必要とする物から、どこでも生産委託可能な「デジタル製品」に変わってきている。

私のいるIT業界でも、20年頃前からソフトウェアの生産を中国へ委託している。理由は、開発コストを下げるためであり、中国は日本の人件費の約1/3である。

20年頃前は、家電品や携帯電話などに組み込まれるソフトウェアの一部だけが中国に生産委託されていた。しかし、ここ数年は基幹系やシステムの中枢部分の大半が中国等の海外で生産されている。

私は、この業界に30年以上いるが、今でも日本のソフトウェアは『未成熟な製造業』と思っている。ソフトウェアのレベルは、欧米から比較すると大きく遅れをとっているのが実情である。

そのような業界が、「人件費が安から・・」と云う理由だけで、システムの中枢部分の生産を中国などへ委託するのは、いかがなものかと思う。

システム開発では、仕様書等の紙やメールなどでは決して伝えることができない、現場での経験・お客様の使用感が重要である。日本で稼働するシステムが、大学を卒業したばかりの中国の「エンジニアの卵」達によって作られている。これで本当に、真の品質は保てるのだろうか・・。

今回発生したトヨタのリコール問題も「風馬牛」と聞き流すのではなく、自社の問題として捉えることが重要である。

自分の常識、相手の常識

CMの受け売りではないのですが、「男性は女性の手料理の内、肉じゃがに弱い!」と言われるようです。

私も単身赴任時代は、週末はできるだけ自分で料理を作るようにしていました。
インターネットでレシピをダウンロードし、いざ『肉じゃが』にチャレンジ!。ふと疑問に思ったのは肉じゃがに入れる肉です。レシピには、牛肉と書かれているが、記憶では豚肉だったような・・!?

関西6府県だけの統計をとってみると、牛豚=109:2と牛肉の圧勝。全国統計でも、牛豚=71%:21%と圧倒的に牛肉だそうです。
ある大学の先生が、糸魚川浜名湖ラインで区切って統計をとるとラインの東側では牛豚=38%:62%、西側では牛:豚=88%:12%と、かなりの東西差が見られることが分かりました。

仕事をしていても、このような「自分の常識」と「相手の常識」の違いはよくあります。

私も本社(東京)で20年以上仕事をしてきました。その後、地方の支社や支店勤務を経験し、本社時代には気付かなかった数々の「常識の違い」を知りました。

「普通は」とか「一般的には」などといっても、それはあくまでも自分の常識の押し付けで、場合によっては自分の方が変ということもあるでしょう。

特にビジネスにおいては、肉じゃがと違って考えの背景に”自分の利益”という無意識の力が働いているので、よほど気をつけて自分を客観視しないと天動説が正しいと思ってしまいます。

説得力のある人とは、常に相手の立場に立ってものを考えられる人ですが、それを習慣にするのはなかなか難しいと感じています。